「農家が丹精込めて作ったじゃがいもが大きさや形が規格外(B品)という理由で廃棄や畑に放置され次年度のためにトラクターで鋤き(すき)込まれるじゃがいもの話にとても心を痛めました」

そう語るのは、沖永良部島で「島の恵みのポタージュスープ」の製品化・販売をしている前田勇治さん。
前田さんは、昼は、一般社団法人おきのえらぶ島観光協会事務局員として、夜はバーテンダーとして自らが経営されるバーに立っておられます。

職場であり、かつ商品が購入できる一般社団法人おきのえらぶ島観光協会での前田さん/撮影：木下裕正

バーに来られる農家のお客さんから収穫したじゃがいもの多くが規格外として販売できず、処分するという話を聞きました。
調べてみると年間100トンものじゃがいもがB品として廃棄されていることが分かりました。

廃棄されるじゃがいもを何とか製品化できないかと考え、2015年に沖永良部島の和泊町特産品開発補助事業を獲得しました。

レシピは自分で考えましたが、島内に加工施設が無く、ネットで探したところ宮城県にある「社会福祉法人 はらから福祉会」が、少量でも調理・加工を請け負ってくれることが分かり、島からじゃがいも、黒糖と塩を送付しました。
製品が完成するまでは、試作品の複数回送付してもらうと共に、宮城県へ3回訪問し、現地で味の調整をおこないました。

沖永良部島から宮城までの行き来だけでも非常に大変だったそうですが、それ以外に苦労されたことについてお話を聞きました。

レトルト加工の最終工程で、袋を高温滅菌するのですが、その際に中のじゃがいもが変色したり、熱が加わることで味が変わってしまいました。
これについては、レシピを変更したり試行錯誤を重ねて克服しました。

こうして完成した製品は、島に送付してもらい、当時島に在住していた方にデザインしてもらったパッケージに袋詰めします。この作業は、島にある「身体障害者小規模通所授産施設さねん」でおこなってもらってます。

「島の恵みのポタージュスープ」を製造・販売していく上でのこだわりを教えていただきました。

沖永良部島のモノを使って、農家・生産者・販売者と購入者も含めて人のつながりを作っていきたいと思っています。

また、味については、誰にでも「やさしい味」を維持するよう心がけています。

前田さんが企画・製品化した商品は全て一般社団法人おきのえらぶ島観光協会で購入できます/撮影：木下裕正

前田さんは、この事業を通して、沖永良部島の農家、生産者として宮城県と沖永良部島の福祉施設、観光客、そして島外にいる島のファンを既につないでいます。

前田さんがお勧めする島の恵みのポタージュスープの食べ方をお伺いしました。

パスタに和えて少し塩・コショウして食べてます。
また、お客さまからは離乳食として利用している、という声も聞いています。

前田さんは、天然の塩も自身で製造されています。また現在、島のジャガイモを使ったカレーも開発中です。
「島の恵み工房沖永良部」の「ポタージュスープ」を始め、今後の新商品も楽しみにしていて欲しいと意欲的に語っておられました。

島の恵み工房沖永良部の商品を直接手に取って購入でき、かつここの商品を使った料理が食べられる場所。

島ちょくキッチン
KUROUSAGI
〒165-0026
東京都中野区新井5-5-15 パレドール中野1F
tel : 03-5942-7155
fax: 03-5942-7655
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島の恵み工房沖永良部の商品取扱場所
一般社団法人おきのえらぶ島　観光協会
ONLINE SHOP
https://okinoreabu.theshop.jp
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一般社団法人おきのえらぶ島観光協会
〒891-9202
鹿児島県大島郡知名町屋者1029-3
tel : 0997-84-3540 (受付 10:00～17:00)
fax: 0997-84-3966
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島の恵み工房沖永良部
〒891-9112
鹿児島県大島郡和泊町和泊3-4
tel : 0997-92-0227
前田勇治